Web Magazine

Web Magazine

第2回 「私が柴山研を選んだワケ」


柴山研に新しいメンバーが3人増えました。遠藤研究員、新領域創成科学研究科に入学した二人に、「私が柴山研を選んだワケ」というテーマで書いてもらいました。大学院進学を考えている方にはとくに参考にして頂きたいと思います。

遠藤研究員

柴山先生を最初に見たのは、中性子散乱の実験の為訪れた東海村の日本原子力研究所で、私が修士課程2年の時であった。今を遡る事8年前の事である。当時、京都工芸繊維大学で若いながら一研究室を率い、散乱法を駆使してゲルの研究に邁進する柴山先生の噂は、高分子を学んで日も浅い私の耳にも入って来ていた。先生は、実験準備室で学生達に鋭く指示を飛ばし、「ただならぬ才気がほとばしっている」というのが第一印象であった。
その後、私はドイツに留学し、ユーリッヒ研究所でRichter教授の指導のもと、中性子小角散乱でマイクロエマルジョンを研究し博士課程を終え、その後もポスドクとしてユーリッヒ研究所に留まり、計7年間、主に多成分から成るソフトマターに関して中性子を用いて研究を続けた。
その間、柴山先生は東大物性研中性子科学施設に移られ、中性子小角散乱分光器の装置責任者になられていた。昨年、物性研でポスドクのポジションが空いているので、中性子小角散乱を用いて多成分ゲルの研究をしないか?と誘われ、日本で中性子散乱を用いてソフトマターの研究するには最良の環境であろうと、帰国を決意した。
柴山研に移ってまだ半年も経っていないが、自分にとって新しいテーマである「ゲル」の研究にのめり込みつつある。柴山先生は初めて会った時の印象そのままのスピード感を保っておられるので、こちらも必死にならないと追いつくのがしんどいくらいだが、振り落とされない様に喰いついて行きたい。

伊野本憲浩

私が柴山研を選んだのは、「自分の研究内容が応用と近いものをやりたかった」というのが第一の理由です。柴山研が取り組んでいる高分子ゲルは、ご存知のようにプニプニした,愛らしい形状をした物質で,その低摩擦を利用して人工軟骨に使われたり、ソフトコンタクトレンズに使われたりしています。また,最近ではナノテクノロジー関連で刺激応答性ゲルの薬物放出制御への応用など,様々なシーンで活躍の場が広がっています.
柴山研では企業との共同研究もかなり活発に行われており、実生活と密接に結びついた研究をしていることがわかります.
他の大学と比較してみても,ここでの研究設備は群を抜いて充実しており,初め来たときは「マジですか」と逆に戸惑った程でした.例えば柴山研では日本では(ほぼ)ここでしか出来ない中性子散乱という解析法を用い,ゲル等の詳細な構造を明らかにしています.何かを合成してもその中身を本当に詳しく知るにはここでしか無理,ということが数多くあるのです.この分野で柴山研はフロンティア的なポジションにいます.このメリットだけでも,柴山研で研究をする価値は大いにあると言えます.ほかにも光散乱など素晴らしい設備はあるのですが,さらに素晴らしいオプションとして柴山先生も(決して爆笑はしないのですが)面白いブラック冗談を言うので,実は笑い的にも大きな魅力に溢れてらっしゃいます.先輩たちも優しくて何を聞いても教えてくれるし,本当にいい人たちばかりで感動しています.スポーツもテニスを中心に盛んです.そんな柴山研で,おかげさまで僕はとても楽しい研究生活を送ることが出来ています.

松永拓郎

私は大学4年生では有機超分子の合成の研究室に在籍していました。そこでは化合物を一から合成しその物性評価を行ってきました。1年間有機化合物の化学的な構造とその性質について学び、その中で物性評価、解析といったことに興味を持ち、今後2年間はそちらに力を注ぎたいと考えていました。
 柴山研は、高分子ゲル(単純にモノマーからは得られない、様々な物性を持つ素敵な物質)を対象として、中性子や光散乱等を用いて物理的、また化学的なアプローチを行っておりそこに強く惹かれました。ここでなら、4年生1年間で学んだことを活かしつつ、新たなそしておもしろいことがやれそうだと思いました。実際研究室に入ってみてその気持ちは変わらず、とてもおもしろいことができそうです。結果はわからないですけど、ネガティブなデータでも前に進めたらいいと思っています。研究室の一員になってもうすぐ2ヶ月、学ぶことは多く、忙しい毎日ですがとても充実した毎日を送れています。
 研究とは別のことになりますが、研究以外の面でも素敵な研究室です。研究室での生活は実験が一番ですけど、そのためには環境も大切だと思います。そのような面においてもすばらしい研究室であると日々感じています。柴山研万歳☆