原子と原子核

2006.4.16; 最終更新日:2014.9.19

原子、原子核、中性子とは?復習してみましょう。


原子は原子核と電子からできています。原子の大きさは約1億分の1cmです。原子核はそのまた10万分の1程度の大きさで、陽子と中性子からできています。「炭」でおなじみの炭素の原子と原子核を模式的に描いてみました。中性子の大きさも原子核と同程度かその十分の一ほどの大きさしかありません。だから、中性子が原子に入っても殆ど通り抜けてしまいます。そして、原子核の近くを通る、ほんのわずかな中性子が核によって散乱され、方向やエネルギーを変えてでてきます。これが中性子散乱です。

中性子には3つの特徴があります。まず、(1)電荷0:すなわち、電気を帯びていない粒子です。次に、(2)1/2のスピンを持っています。スピンとは磁石の性質ですから、物質の磁石の性質・構造を調べるのにうってつけのプローブ(ミクロの目)です。それから、(3)陽子と同じ重さを持ったボールです。重さがあるので重力の影響も受けるし、飛んでくる速さも波長が1nmの中性子で秒速300mほどです。つまり音速ほどです。調べたい物質の原子核にぶつかったりすると、中性子は方向や速度を変えます。この変化を調べることにより、物質の構造や運動がわかります。