中性子散乱
2011.3.29; 最終更新日:2014.9.18
中性子散乱における散乱強度とは?
中性子散乱における散乱強度は「微分散乱断面積dSIGMA/dOMEGA」で表されます。微分散乱断面積とは上の式にあるように、散乱要素(iとかj)の散乱長bi, bjを位相(散乱要素の場所)を考えて掛け合わせ、それをすべてのi, jに対して足し合わせることで得られます。この操作は数学的にはフーリエ変換となります。したがって、微分散乱断面積とは、実空間における散乱要素の相関のフーリエ変換から求まると言うことを意味します。
もう一つ、中性子散乱で重要なことは、干渉性散乱と非干渉性散乱があることです。同位体がある元素の散乱長は同位体によって異なります。そのため、「散乱長の2乗の平均」<b^2>と「散乱長の平均の2乗」<b>^2とは異なります。その差が最も大きいのが水素で、これが大きな非干渉性散乱をもたらします。中性子散乱によりソフトマターの構造解析を行う際には、この非干渉性散乱をできるだけ低く抑えることが必要です。 文