焼酎のお湯割り

最終更新日:2016.3.27

数年前、新橋の飲み屋で、焼酎のお湯割りについておもしろいことを学んだ。年配の偉い先生、曰く、「焼酎のお湯割りにはルールがあって、必ず、まずお湯をグラスに注ぎ、その後で焼酎を加えなければならない。」 酒に弱い私は、「どうしてですか?」、「逆にするとどうなるのですか?」と質問。
酒の席であったため、まじめにこの質問に答えてくれる人もなく、自ら調べる機会もなく数年が過ぎてしまった。ところが、2016年3月に九州に出張した折、美味しい和食の店での会食があった。私は、話題提供のつもりで、この「昔話」を披露したところ、誰もそんな話すら知らなかったので、「それでは実験しよう」ということになった。
以下はその実験の概要:
テーマ:焼酎のお湯割りについて、お湯を先にした焼酎のお湯割りと焼酎を先にしたお湯割りのどちらが美味しいか。
実 験:お湯を先にした焼酎のお湯割りと焼酎を先にしたお湯割りを用意し、7人で回しのみによる試飲。ただし、どちらもお湯と焼酎の比は約1:1であり、マドラーによる攪拌はざっと数回程度。
結 果:7人中6人が違いをはっきりと感じた。そして、お湯を先にした焼酎のお湯割りの方が口当たりがいいと評価。
一方、焼酎を先にしたお湯割りの方はアルコール刺激が強いという感想。
考 察:焼酎のお湯割りをよく飲むという参加者が、「水割り」ではなく「お湯割り」であることが重要と指摘。この意見を参考に考察した結果、お湯による焼酎のアルコールの蒸発や温度差による攪拌効果が味や香りの違いの理由であると推論した。そして、「お湯を先にした場合、お湯に焼酎を注ぐことにより、アルコールが適度に蒸発し、うま味成分が 多く残り、マイルドなお湯割りになった。」と結論した。(下の文献を読むと、正解は少し異なるようで、焼酎にお湯を注いだ時のほうがアルコールが蒸発し、それが強い刺激となるとのこと。お湯に焼酎だとマイルドに混ざり、日本酒(焼酎6:お湯4)やワイン(焼酎1:お湯1)のアルコール濃度になるそうだ。)
感 想:最初は、アルコールの方が比重が小さいので、焼酎に水を注いだ方が、良く混ざるとおもったので、「焼酎を水で割る」方が正解だとおもった。また、ウイスキーの水割りは、ふつう「ウイスキーに水を加えて作る」ので、それと同じと考えた。でも、「焼酎のお湯割り」はそうではなく、もっと奥深いものだと知った。この研究(?)は、「アルコールと水の混合(ブレンド)に関する研究」に過ぎないが、混合の方法次第で味や風味が大きく異なることと、人間の感覚(この場合は嗅覚と味覚)の鋭さに改めて驚かされた。ちなみに、硫酸や塩酸の希釈は、「水の中に硫酸や塩酸を注ぐ」というのを中学で習った記憶がある。これは希釈熱によって液体が飛び散るのを防ぐ意味があるんだ。これと同じ??
文献調査:このテーマでいくつかの報告を発見。
以下に引用。
【焼酎】意外と知らない?美味しいお湯割りの作り方
通はお湯が先ってホント? 焼酎お湯割りの正しい作り方